めまい 〜東洋医学的考え〜

鍼灸院に「めまい」の改善を主訴に来院される方は多くはないのですが、当院ではどのように「めまい」を捉えて施術するのかを、今回は書いていきたいと思います。

めまい 鍼灸 今治市 玄鍼灸院

めまいを漢字から紐解く

めまいを漢字に変換してみると眩暈、目眩と変換されます。
眩は形成文字で目+玄。音符の玄はおくふかい・かすかの意味。視力がかすか、くらむの意味。
暈は形声文字で日+軍。音符の軍は、めぐるの意味。日や月の周囲に現れる光の輪の意味を表します。
つまり、眩暈は舟に酔ったようなめまいで、目眩は目がかすみクラクラするめまいと言うことになります。この目眩・眩暈、読み方は同じでも意味が大きく違うことが分かるかと思います。
目眩では主に耳鼻科領域の疾患が多く、眩暈では耳鼻科領域の疾患以外に中枢神経系の疾患が考えられます。

東洋医学の古書での記載

<霊枢>と言う東洋医学関連の古書の中に<大惑論>があり、その中にめまいについての記載があります。
「諸脈皆系于目。臓腑筋骨之精、与脈併為系、上属于脳、後出于項中。故邪気中于項、因逢其身之虚、其入深者、随目系而入于脳則脳転、脳転則引目系急而眩矣。」
簡単に意訳しますと「様々な脈は全て目に関係している。臓腑筋骨の精は脈と一緒に連なりを作り、上では脳に所属し、後ろではうなじから出る。そのために邪気がうなじを襲い、体が弱っていると、邪気が深くにまで入り込み、目系と共に脳に入れば、脳転し、脳転するので、目がかすむ。」
この文章から推察すると目眩より眩暈の方が、邪が深く入っていることが分かりますね。

めまい 今治市 鍼灸 玄鍼灸院

めまいの東洋医学的分類

<中医症状鑑別診断学>では、肝陽上擾型・肝陰虚陽亢型・心脾気血両虚型・腎精虧虚型・痰湿内阻型が記載されています。これはあくまでも分類であるので、実際の患者さんにそのまま当てはまることは、それほど多くはありません。様々なタイプが合わさっていることが多くあり、あくまでも目安にして当院では参考にしています。
最近では、<証治滙補>と言う本の中の<眩暈章>を参考にしています。その中でも脾虚眩暈・気鬱眩暈・停飲眩暈・晨昏眩暈。

・脾虚眩暈

脾為中州、昇騰心肺之陽、堤防腎肝之陰。若勞役過度、汗多亡陽、元気下陥、清陽不昇者、此眩暈出于中気不足也。

・気鬱眩暈

七情所感、臓気不平、鬱而生涎、結而為飲、随気上逆、令人眩暈。必寸口脈沈、眉稜骨痛為異。若火動其痰、必兼眩暈噌雑、欲作吐状。

・停飲眩暈

中気不運、水停心下、心火畏水、不敢下行、擾乱于上、頭目眩暈、征忡心悸、或吐涎沫。宣瀉水利便、使心火下交、其眩自己。

・晨昏眩暈

有早起眩暈、須臾自定、日以為常、謂之晨暈、此陽虚也。有日哺眩暈、得臥少可、謂之昏暈。此陰虚也。

上記のタイプから中焦の働き(脾胃)が鈍ると上・下の関係性が崩れ、その影響からめまいを起こすと考えます。最近はこのタイプの患者を多く見ます。ではなぜ中焦の働きが鈍るのか、原因は多くありますが、めまいにフォーカスして考えるとストレスが一番最初に挙げられます。そこで五志(怒・喜・思・憂・恐)から脾胃を見ていきます。

脾と思

五志の中で脾に対応するのは「思」です。「思」を調べますと、会意文字、田+心。頭脳と心でおもうの意味を表すとあります。このことからもストレスがかかると色々考えてしまいますよね、結果それが脾に相当な負担をかけてしまうことになってしまいます。
現代社会はストレス社会なので、頭や心で考える・思うことが多くあります。それが知らず知らずのうちに脾に影響を与えてるものと推察できます。

このタイプのめまいに対しての施術においては脾胃の改善に重点を置いた方法を取ります。勿論、脾胃の治療が全てではありませんが、脾胃が弱っているタイプが多いなと治療を通して感じています。

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