傅青主女科 調経①

傅青主女科種子は不妊治療のことで、今回からは調経(生理不順の治療)について書いていきます。不妊治療を行う上で、生理周期を整えることは非常に重要なポイントとなります。

経水先期

婦人有先期経来者、其経甚多、人以為血熱之極也、誰知是腎中水火太旺乎。夫火太旺則血熱、水太旺則血多、此有餘之病、非不足之症也、似宜不薬有喜。但過於有餘、子宮太熱、亦難受孕、更恐有爍乾男精之慮、過者損之、謂非既済之道乎。然而火不可任其有餘、而水断不可使之不足。治之法但少清其熱、不必泄其水也。方用清経散。

又有先期経来只一、二點者、人以為血熱之極也、誰知腎中火旺而陰水虧乎。夫同是先期之来、何以分虚実之異。蓋婦人之経最難調、苟不分別細微、用薬鮮克有效。先期者火気之衝、多寡者水気之験、故先期而来多者、火熱而水有餘也。先期而来少者、火熱而水不足也。倘一見先期之来、俱以為有餘之熱、但泄火而不補水、或水火両泄之、有不更増其病者乎。治之法不必泄火。只專補水、水既足而火自消矣、亦既済之道也。方用両地湯。

意訳

先期経来者は月経周期が8,9日程早く、酷いと半月に一度生理があり、それが二周期以上続く人を指しています。その経血量は多く、血熱の極みであると考えているけれど、誰も腎中水火が盛んであることを知らない。火が盛んであると血熱、水が盛んであると血が多い、これは有余の病で、不足の症ではない。薬を用いて治療しなくても妊娠することができる。但し有余が過ぎれば子宮に熱が溜まりすぎて妊娠が難しくなってしまい、さらに精子を溶かしてしまう恐れがある。「過者損之」、調理(養生のこと)をしないで平衡(水と火のバランスをとる)に達する道理があうのか?治療は熱を清し、水を泄らすべきではない。薬は清経散を用いる。

また、月経先期で経血量が多くないと、血熱の極みと考えているが、誰も腎中の火が盛んで陰水が欠けていることを知らない。同じ月経先期であるが、何をもって虚実の違いを分けるのか?女性の経(月経周期)を調えるのは難しいけれど、詳細に診断しないで薬を出すと得られる効果は少ない。月経先期は火気が盛んなものである。経血量が多い、或いは少ないは津液の多少によるものである。よって月経先期で経血量が多ければ、火熱にして水が有余、経血量が少なければ火熱にして水不足である。火を泄らして水を補わない、或いは水火の両方を泄すと病状が更に酷くなる。治法は火を泄さず、ただ水を補う。水が足りれば火は自ずと消える。薬は両地湯を用いる。

解釈

この条文では主に月経先期(月経周期が25日以内と短いもの)の二つのタイプについて述べています。つまり血熱と陰虚血熱です。血熱タイプは火が盛んで水が有余であるので経血量が多く、実証に属します。症状としては経血量が多く、経血の色は鮮やか、もしくは紫紅色、血塊があり、口が渇きやすく、顔色は赤く、舌は紅苔黄、脈滑数或いは弦数が見られます。陰虚血熱タイプは、火が盛んで津液不足(水)しているので血も少ないので、虚証に属します。症状としては経血量が少なく、経血の色は鮮やか、両頬に赤味が見られ、口が乾く、もしくは午後に熱っぽくなる、寝汗が見られることがあり、舌紅少苔、脈細数が見られます。
2つのタイプは共に熱が盛んではあるけれども、血熱タイプは水が余っているので経血量が多く、陰虚血熱タイプは水が不足しているので経血量が少ない。経血量の多少が判別のポイントとなってきます。