ストレスー「怒」

今回はストレス時に現れやすい「怒」について書いていきます。

鍼灸施術を始める前の問診の中で、「ストレスがすっごくてイライラして怒りっぽくなる」「子供が言うことを聞いてくれなくて、つい怒ってしまいます」などと怒りの感情を訴える患者さんが多くいます。

怒とは?

「怒」をみると奴の下に心があり、奴には力を込めて労働する奴隷、粘り強いという意味があります。【説文解字】では、“怒、恚也。従心。”ととかれており、心からジワジワと湧いてくる怒りと解釈することができます。

怒り 今治 玄鍼灸院

東洋医学からみた「怒」

七情(喜・怒・憂・思・悲・驚・恐)と五臓とは関連があり、「怒」は五臓の中の肝と深く関連します。例えば古医書の中では、【霊枢・本神】に“肝蔵血・・・実則怒”、【素問・陰陽応象大論】に“肝生筋・・・在志為怒”、【素問・本病論】に“人或恚怒、気逆上而不下、即傷肝”等の記載が見られます。
肝は気がスムーズに流れるようにコントロールしています。ですから、気がスムーズに流れないと肝が病むことになります。これについても古医書の中に記載されています。【霊枢・寿夭剛柔】に“憂恐忿怒傷気、気傷臓、乃病臓”(憂恐忿怒が気を傷つけると、気が臓を傷つける、つまり臓が病む)とあります。

怒則気上

怒則気上、これは怒の感情が生じると肝気が異常に上昇することを言います。そうすると症状としては、イライラする、頭痛、眩暈、目が腫れぼったく痛む等の症状が現れます。

怒の感情を現さず溜め込む方も多く見られます、そのような場合は「鬱怒」として捉えます。【医醇賸义・怒傷】に“怒甚脇痛、鬱極則火生、心煩意躁、筋節不利、入夜不寐”(怒りがひどいと脇が痛み、気がスムーズに流れないと火が生じ、イライラして落ち着かない、筋肉や関節を動かしにくい、夜になっても眠れない)とあります。
これは怒りを溜め込むと気の流れが悪くなり、その結果として身体の中に火が生じ、様々症状が現れると考えます。また気の流れが悪くなると、肝気が脾胃に向かって多く流れるようになります。そのようになると胃腸の症状、例えばお腹が張りやすい、胃の痛み、ゲップが出やすい等がよく見られます。

鍼灸での施術

怒による症状の中心は肝ですが、五臓の心にも気を配る必要があります。心は五臓六腑の大主、【医醇賸义・労傷】に“然七情之傷、雖分五臓、而必帰本於心・・・至於怒傷肝、肝初不知怒也、心知其当怒、而怒之太過、肝傷則心亦傷也・・・故治七傷者、雖為肝、脾、肺、腎之病、必兼心臓施治、始為得之”(七情による症状は五臓に分けられるが、大本である心におさまる。・・・怒で肝が傷つくが、肝は初め怒が分からないが、心は怒が分かる、怒が過ぎると肝が傷つき心も傷つく。・・・七情による症状を治すには肝、脾、肺、腎の病の違いがあるが、必ず心の治療を施す。)と書かれています。

鍼灸の施術は怒により肝気がスムーズに流れない、もしくは肝気が異常に上昇するので、それらの肝気を正常にするツボを選びます。定番のツボの組み合わせとしては、「合谷・太衝」があります。それに上昇しすぎた肝気をさげる「百会」に鍼灸を施していきます。これら以外にも四診から得られた情報からツボを選択し、鍼灸を施していきます。

メンタル鍼灸の症例はこちら、症状についてはこちら

合谷
太衝
百会


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