傅青主女科 調経③

経水先後無定期

経水先後無定期は月経周期が乱れており、生理予定日より早い、もしくは7日以上遅れ、その状態が2周期以上続くことを指して言います。

婦人有経来断続、或前或後無定期、人以為気血之虚也、誰知是肝気之鬱結乎。夫経水出諸腎、而肝為腎之子、肝鬱則腎亦鬱矣。腎鬱而気必不宣、前後之或断或続、正腎之或通或閉耳、或曰肝気鬱而腎気不應、未必至於如此。殊不知子母関切,子病而母必有顧復之情、肝鬱而腎不無繾緒之誼、肝気之或開或閉、即腎気之或去或留、相因而致、又何疑焉。治法宜舒肝之鬱、即開腎之鬱也、肝腎之鬱既開、而経水自有一定之期矣。方用定経湯。

意訳

女性の生理が予定日より早い、もしくは遅れてしまい安定しないことを人々は気血の虚のしているが、誰も肝気の鬱結であることを知らない。経水(月経)は腎より出、肝は腎の子、肝が鬱(ふさがる)であれば腎もまた鬱となる。腎が鬱であれば気の流れが悪くなる、生理予定日が早かったり遅かったりする、これは腎の作用が失調することによるものである、あるいは肝気が鬱して腎気が応じないものである。子母関係を切り離すことは出来ず、子が病めば母のことを気にかけないといけない。治療は肝の鬱を広げ、腎の鬱を開く、肝腎の鬱が開かれれば、経水は定期的に来る。薬は定経湯を用いる。

解釈

この条文は、肝臓の鬱に腎の弱りがあることにより、生理周期が安定しないことを述べています。
肝臓は気の流れをスムーズさせる作用があります。しかしイライラや怒ったりして肝臓が傷つくと、気をスムーズに流すことができずに気が火に変化し、その火(熱)は血を乱すことになり生理が早くなります。また肝臓の鬱があれば気の流れが悪くなり、それに伴い血の流れも悪くなり血瘀(血の塊)が作られ生理が遅くなります。腎の弱りも生理が早かったり、遅くなったりする原因となります。
臨床でよく見られる症状として、肝臓の鬱によるものでは、経血に血の塊が多くまじり、下腹部もしくは乳房が脹れて痛み、イライラしやすく怒りっぽい、時々ため息をつく、舌質淡、苔薄白、脈弦。腎の弱りの場合には経血量が少なく、色が淡く、サラサラとし、眩暈や耳鳴り、腰のだるさ、夜間頻尿、舌質淡、苔薄白、脈沈弱が見られます。肝と腎は子母の関係があるので、症状は肝と腎の症状が合わさったものがよく見られます。
施術では肝の鬱を取り除き、腎の弱りを補っていきます。よく使用する経穴としては、合谷・太衝・三陰交・太谿・大巨・陰谷等を使用します。

足厥陰肝経
足少陰腎経