11月に入って朝晩は肌寒くなってきましたね。
今回は鬱証につにて書いていきます。HPのアクセス解析を見ていると、昨年に比べて「うつ病」で検索されて当院のHPを見ていただいているようなので、東洋医学では、「うつ病」をどのように考えているかを、おおまかに書いていきます。
鬱証とは
鬱証は東洋医学的には情志不舒(感情が伸びやかでない)、気機鬱滞(気の流れが滞る)の病を指し、心情抑鬱、情緒が不安定、胸部満悶、胸脇脹痛、或いは怒ったり泣きやすい、或いは喉に何かが詰まった感じがする等を表現するものと考えています。
病名由来
鬱証は《黄帝内経素問・六元正経大論》の中に「土鬱、木鬱、金鬱、火鬱、水鬱」の五鬱の説がはじまりです。それから時代が下がり《傷寒論》と《金匱要略》の中に鬱証の病名はないのですが、「臓躁」「梅核気」「百合病」「奔豚」等の鬱証の範疇に属する記載があります。金元時代になると一つの独立した病証としての論述があり、《丹渓心法・六鬱》の中に「気血衝和、萬病不生。一有怫鬱、諸病生焉。故人生諸病、多生於鬱」(気血が調和すれば、病は生じない。気が滅入ると様々な病が生じる。だから人に様々な病が生じるのは、多くは鬱から生じる。)と述べています。それとあわせて気・血・痰・熱・湿・食の「六鬱」の説を提唱しています。その他に《景岳全書》、《医学正伝》、《臨証指南医案》と云う書物の中にも情志の鬱に関する記載があります。
発病の原因
鬱証の基本病機(病気の発生・発展・変化のメカニズム)は肝失疏泄、脾失健運、心失所養、臓腑陰陽気血失調です。主な病位(病気の位置)は肝にあり、そこから心・脾・腎に及びます。鬱証の初期の病変は気滞(気の滞り)が主で、それに血瘀、化火、痰結、食滞等を伴い、多くは実証(病邪が旺盛)に属します。病の期間が長くなると実証から虚証(正気が不足)に変化します。
虚実の弁別
・実証:病の期間は比較的短く、精神抑鬱、胸脇脹痛、喉の中がつまる、ため息が多い。
・虚証:病の期間が長く、精神不振、落ち着かない、不眠、悲しくて泣きたくなる。
分類
肝気鬱結型
精神抑鬱、情緒不安定、胸部満悶、胸脇脹痛、痛む所が一定しない、よくため息をつく、食欲不振、大便不調、女性の場合には月経不調、生理前に胸の張りがある。
心神失養型
ぼんやりとし、落ち着きがなく、疑い深く驚きやすい、悲しくてよく泣く、喜んだり怒ったりする、喜んで飛んだり跳ねたりする。
痰気鬱結型
精神抑鬱、胸の閉塞感、脇肋脹満、喉の中に何か詰まっている感じがする。
心脾両虚型
考えることが多く疑り深い、眩暈、動悸、不眠、物忘れ、食欲はない、顔色が良くない。
陰虚火旺型
眩暈、情緒が不安定、動悸、物忘れ、不眠、夢が多い、怒りやすい、腰のだるさ。
おおまかには以上の様な分類が出来ます。それにあわせて穴を選んで鍼灸を行っていきます。
当院に「うつ病」で来院される患者さんの多くは、心療内科と併用されている方が大半です。併用することにより、上手く減薬することができたり、うつ症状の改善を図ることができます。
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