今回は肝から見た不妊症について書いていきます。以前、腎から見た不妊症についても書いていますから、そちらも併せて参考にしてください。
腎から見た不妊症はこちら。
肝とは?
ここで言う「肝」は、西洋医学で言うところの腎臓ではなく、東洋医学でいう《肝臓》です。
肝の主な働きには、
・肝は蔵血する
・肝は疏泄を主る
・肝は筋を主り、運動を主る
・肝の華は爪に在る
・肝は目に開竅する
肝の働きには以上のものがあり、不妊に関連する作用として蔵血、疏泄が挙げられます。
蔵血作用
蔵血作用とは血液を貯蔵し、血液量を調節する作用のことです。また蔵血作用には身体の各部位の血液量を調節する作用もあります。そのため肝に病があると蔵血作用の働きが悪くなり、血虚(血が足りない状態)や出血がおこるようになります。この蔵血作用と女性の生理との関係は非常に重要です。もし肝の蔵血作用が悪くなると血を貯めることができずに月経量が少なくなり、ひどい場合には生理が止まることがあります。女性の生理の問題を「血の道」と表現することがあり、肝との関係をうまく表している言葉です。
疏泄作用
疏泄とは流れや発散という意味で、気血の流れを円滑にする働きを言います。この疏泄は作用には主に3つの作用があります。
1,気血の流れを調節
気と血は、「気為血帥、血為気母」(気は血をひきい、血は気の母)という関係にあります。疏泄作用が悪いと気血の流れが悪くなり、女性では月経不順や不正出血が見られます。
2,消化機能を助ける
肝の疏泄作用は脾胃の消化活動を助けています。脾胃では飲食物から気・血を作るので、疏泄作用が悪くなると、気・血が充分に作ることができなくなり、気血不足となります。また脾胃の弱りでも同様なことが起こります。
3,精神情緒を調節
疏泄作用が良好であると精神状態は安定し、反対に不調であれば、抑鬱状態や興奮しやすい状態になります。女性の月経前症候群の精神症状は、この疏泄作用の異常で見られることが多くあります。
肝の異常
肝から不妊症をみると、上記した蔵血作用と疏泄作用の異常がよく見られます。
不妊症の方の生理時の症状では、生理が早くくる、もしくは遅れてくる。生理痛がひどい、経血量が少ない、血の塊が多く見られるなどです。また月経前症候群は肝との関係が非常に密接で、不妊鍼灸で来院される方の大部分で肝の異常が見られます。
「女子以血為本」「女子以肝為先天」という言葉がり、女性と血や肝との関係をうまく表現しており、不妊鍼灸を行う場合には肝の働きを非常に重視します。
妊娠はいくつもの働きがスムーズに働き、妊娠となるので、この働きをスムーズに行えるようにするためにも肝の働きは重要となってきます。
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