フレイルとは「高齢者鍼灸」でも書いていますが、加齢とともに筋力や心身の活力が低下した「高齢者の虚弱」を指す言葉です。
そこで、今回は東洋医学ではフレイルをどのように考えているかを書いていきます。
気・血の働き
フレイルを東洋医学的にみると、「気」と「血」が不足した状態です。
気は生命活動に必要なエネルギーのことで、気が不足しているか、もしくは余っているかで評価をしていきます。この気、日常生活の中で自然に受け取っています。例えば、「この人、今日は元気がないなぁ」「今日はいつもより元気があるなぁ」などと感じることも多いのではないでしょうか。
血は、血液と血液の中に含まれる栄養素のことです。
気と血の関係は、気があってこそ血が巡る(気為血之帥)と考えています。
気と血の他に「水」がありますが、水は血液以外の体液のことです。
気の働き
気の働きには推動・温煦・防御・気化・固摂の5つの作用があります。
推動(すいどう) | 体液や血液をめぐらす |
温煦(おんく) | 体温の維持 |
防御(ぼうぎょ)< | 外から入ってくる邪気を防ぐ |
気化(きか) | 血や水を汗や尿に変化させる |
固摂(こせつ) | 血が血管からもれないようにする< |
上記の働きが弱くなると、例えば深呼吸がうまくできない、声に張りがない、食が細くなる、風邪を引きやすくなる、下痢をしやすいなどの症状が出てきます。
血の働き
血は全身をめぐり、栄養するように働きます。この働きによって目は物をよく見、指がしっかりとつまむことができ、筋肉や関節がたくましくなり、スムーズに動かせることができます。血が不足すると充分に栄養が行き渡らなくなり、目は乾き、視力が落ちたり、関節の動きが悪くなり、皮膚の乾燥や痒みなどの症状が出てきます。
また血には精神状態を安定させる働きがあります。
以上のことから気血の働きが如何に大切かが分かると思います。
高齢になってくると自然現象としてどうしても気血の働きが弱くなるのですが、その弱くなるスピードをいかに遅くさせるかがポイントとなってきます。
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