蒸し暑い日が続きますね。今回は「顔面神経麻痺」について書いていきます。
当院では年に1〜2名の方が顔面神経麻痺を主訴として来院されており、いずれも病院での診察・診断を受け、病院と併用です。
顔面神経麻痺とは?
ある日突然顔の半分、もしくは一部が思うように動かせない状態になったことを言います。顔面神経は顔を動かす神経で、顔面神経は脳から出て側頭骨の中を走行し骨から外に出て、耳下腺(耳の前から下にあり、唾液を出します)の中で眼、鼻、口唇に向かう3本の枝に分かれます。この神経に何らかの病気が起こると顔面神経麻痺となります。
鍼灸院で扱う顔面神経麻痺は大きく2つ、ベル麻痺とラムゼイハント症候群があります。
◇ベル麻痺
ベル麻痺は顔面神経麻痺の60〜70%を占めています。ベル麻痺の一部は単純ヘルペスウイルスによって引き起こされるものと考えられています。初期治療では、病院でのステロイド薬・抗ウイルス薬の治療が必要です。
◇ラムゼイハント症候群
末梢性顔面神経麻痺を伴う帯状疱疹の1病型で、原因としては水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によるものです。ベル麻痺と比べて予後は悪く、後遺症が残る頻度が高くなります。
◇よく見られる症状
・顔半分が思うように動かない
・麻痺側の眼を閉じることができない
・麻痺側の口角が下がり、食事中に食べ物や飲み物がこぼれる
・麻痺側の舌の味覚が無くなる
東洋医学の考え方
東洋医学では顔面顔面神経麻痺は「風邪」によるものであると考えています。ここでの「風邪」はいわゆるカゼのことではなく、「風」によって引き起こされる病のことです。この「風邪」によるものには顔面神経麻痺以外に脳卒中、突発性難聴など前触れもなく発症する病気は「風邪」によるものと考えています。
東洋医学の古医書に顔面神経麻痺に関連する記載が多く見られます。その一部を《諸病源候論》から抜粋します。
・風口噤候
諸陽経筋、皆在於頭。手三陽之筋、並結入於頷頬、足陽明之筋、上挟於口。諸陽為風寒所客則筋急、故口噤不開也。診其脉遅者生。
意訳
陽経の経筋は全て顔面や頭に分布しています。手三陽の筋肉は下あごと頬に、足陽明の筋肉は口に分布しています。これらの陽経の筋肉が風寒の邪気に侵されると筋肉が緊縮し、口を噤んで開けることができない。
・風口喎候
風邪入於足陽明、手太陽之経、遇寒則筋急引頬、故使口喎僻、言語不正、而目不能平視。診其脉、浮而遅者可治。
意訳
風邪が足陽明、手太陽の経に入り、寒邪に遇うと顔面の筋肉が緊縮して頬部を牽引し、口角が歪み、話しにくくなり、両目で水平に物をみることができなくなる。
当院における施術は「風邪」を重視しつつ、四診から得られた情報をもとに施術方針を決めて施術しております。
損傷した顔面神経は軽症の場合では約3ヶ月、神経断裂となっている重症の場合では発症から約4ヶ月かけて修復されると言われています。ですので発症から3〜4ヶ月は週に1度、もしくは2度の施術、発症から4ヶ月以降は週に1度の施術を施術間隔としております。
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【つらい症状、解決します】
一人一人の症状にあわせた施術を行い、少ない施術回数で症状の改善を図っております。過去の臨床経験から内科・整形外科・婦人科・心療内科疾患などの疾患に対応します。
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