2月に入り、寒さが厳しくなってきました。季節を問わず手足の冷えで悩んでいる患者さんは多く、特に寒い時期になると相談を多く受けます。そこで今回は冷え性について書いていきます。
冷え性とは?
冷え性は病名ではなく、自覚症状を指したものになります。つまり手足の末端や腕、太もも、お腹、腰などが温まらずに冷えているような感覚を自覚することを指しています。しかし、冷え性を訴える部分を触れてみると冷たく感じます。
「日本人女性の2人が1人が冷え性であり、3割の男性も冷え性」と言われており、女性の場合には食生活や月経の影響により女性ホルモンの乱れがあると自律神経のバランスを崩すことによって冷え性が起きることが多いと考えられます。
冷え性の原因
原因としては、血液の流れが悪くなり温かい血液が毛細血管に流れる十分な量が行き渡らなくなり、血管が収縮してしまい手足が冷えてしまいます。手や足先は心臓から遠い場所にあり、血行の悪さによる影響をまず初めに受けるために冷えの症状が現れやすい場所となります。
また体温調節は様々なシステムによって調節されています。脳には手足から来た血液の情報をもとに、外気の温度を感知して体温の調節をしている視床下部という場所があります。この視床下部で寒さを感じると、甲状腺ホルモンや自律神経を通して体温を上げるように司令を出します。
主な原因
筋力の低下
運動不足は筋力の低下を招き、さらに身体の代謝を悪くして血液の流れを悪くします。筋力の低下は筋肉量の低下を意味し、身体の中でうまく熱を作ることが出来なくなり、身体を温めることが出来なくなります。
食生活
栄養バランスの良くない食事により、ビタミンやミネラル不足になると血液の流れを悪くします。鉄分不足は女性に多くみられ、生理や無理なダイエットなどにより鉄分不足となり、貧血を起こしてしまいます。貧血も冷え性の原因の一つになります。
また脂肪分の多い食事は血液の流れを滞らせ、血液の流れが悪くなります。
自律神経の乱れ
ストレスなどで自律神経が乱れると、体温の調節をうまく行うことが出来なくなります。またストレス状態が続くと交感神経優位の状態が長くなり、末梢血管が収縮を続けてしまい、血行不良を招いてしまい、冷え性となってしまいます。
東洋医学からみた冷え性
冷え性は身体の表面の症状というより、身体内部の気血津液、五臓六腑の機能失調の表れと考えます。東洋医学では冷えや寒さに関係する用語が多くあり、その中でも手や足に関するものを挙げてみます。
手足不温 | 手足が温かくない状態 |
手足厥寒 | 手足が寒く、手足不温より重い |
手足厥冷 | 手足が冷たく、寒さの範囲は手足の指先から手首・足首まで |
手足厥逆 | 手足厥冷より冷たく、手足の先から肘や膝まで冷える |
古代の人の考えでは、冷え性は「寒邪」からくるものと考えています。寒邪は身体内の陽気を傷つけて、血液の流れを障害します。その結果として冷え性が生じます。「寒従脚生」(冷えは足から生じる)といわれ、特に下半身の冷えには注意を払う必要があります。
よく見られる証
東洋医学において冷え性の病因は寒・湿の邪気、生・冷たいもの食べすぎや飲みすぎ、もともと陽気が不足しているものと考え、関連する五臓六腑は心・胃・脾・腎と関係が深く、特に脾と腎と密接なつながりがあります。
臨床でよく見る証
証、西洋医学で言うところの病名に相当します。
寒邪犯胃
お腹(みぞおちと臍の間)が冷えて痛みがあり、温めると楽になる。
寒凝肝脈
少腹部(臍からした)が冷える、女性に多くみられ、生理前に下腹部の冷え、痛みが見られる。
脾陽虚証
お腹が張り、お腹が冷える、手足の冷え、軟便または下痢をする。
腎陽虚証
腰やお尻が冷え、だるい痛みがある、手足の冷えがある。
寒滞経脈
関節の周りが冷えて痛む、手足の冷え。ひどいとしびれや感覚が鈍くなる。
施術方法
冷え性は主に寒邪によるものなので、寒さを散らし、温める施術を主に行い、弱った五臓六腑を強くするようにしていきます。主に使うツボとしては大椎・命門・三陰交・太谿・合谷・腰陽関・関元等に鍼・灸を行っていきます。
また鍼灸の施術により血液の流れが改善され、自律神経のバランスをとることができ、冷え性の改善につながります。
【つらい症状、解決します】
一人一人の症状にあわせた施術を行い、少ない施術回数で症状の改善を図っております。過去の臨床経験から内科・整形外科・婦人科・心療内科疾患などの疾患に対応します。
お気軽にお問い合わせください。
Tel:0898-34-4363