患者さんとの会話の中で、「五十肩?四十肩?って鍼灸で良くなりますか?」もしくは「友達が五十肩なんだけど、良くなる?」等の質問を受けることがよくあります。そこで「五十肩」について書いていきます。
五十肩とは?
よく五十肩・四十肩といいますが、正式には「肩関節周囲炎」といいます。40代以降、特に50代に好発するので、四十肩・五十肩といわれます。
五十肩は肩関節周辺の腱、靭帯などの組織の退行性変化(機能の働きが弱くなること)をもとにして、慢性炎症が起こる疾患のことです。肩の痛みと運動制限を主な症状とする疾患のことです。50歳をピークに発症して、6〜24ヶ月で自然治癒することが多いです。
五十肩の症状
主な症状としては肩関節の痛みと運動障害です。痛みは夜間に強く、前腕から手、首などに痛みが及びます。
五十肩になると手を挙げたり、手のひらを返す動きを行った時にも痛み、髪を結ぶ、手を背中に回す動作でも痛み、日常生活に支障が出てきます。
痛みのために肩関節を可動させる範囲が狭くなると、肩関節が拘縮(関節が固まる)や関節周りの筋肉が廃用性萎縮(筋肉が痩せる)が起こってしまいます。
五十肩の経過
五十肩の経過には、3つの段階があります。
◎急性期
急性期は痛みが強く、発症してから1〜3か月間程度痛みが続きます。痛みのために着替えや洗顔、洗髪などの動作ができない、睡眠時に痛みがあるなどの症状があります。
◎拘縮期
急性期が終わってから1〜6か月間が拘縮期にあたります。腕を動かさない時、睡眠時などの時には、痛みをほとんど感じなくなります。「腕を上げよとしても、これ以上は上がらない」といった、肩関節の動かせる範囲が狭くなります。
◎回復期
拘縮期が終わってから6か月〜1年間程度が回復期にあたります。痛みはほぼおさまり、肩を動かせる範囲も広がり、日常生活で不便さを感じることがなくなります。
鍼灸院に五十肩で来院される場合、急性期・拘縮期の患者さんがほとんどです。
東洋医学から見た五十肩
五十肩の痛みのために鍼灸院に来院される方は多く、施術する機会は多くあります。
そこでどのような考えも基にして施術しているかを紹介していきます。
まず関節部に起こった痛みは、「痹証」として捉えます。痹には閉塞して不通の意味があります。風、寒、湿、熱等の外邪が身体の弱った部位から身体に侵入して、経絡の流れを停め、また気血の流れを停めることによって筋肉や関節に痛みや重だるさ、関節を動かしにくい、関節が腫れる等の症状が出てきます。
現れる症状によって行痹・着痹・痛痹・熱痹等に分けられ、五十肩では主に着痹や痛痹がよく見られます。
身体の弱った部位、主にはどの経絡が弱っているかを探ります。肩周囲には肺経・小腸経・三焦経・大腸経などの経絡が通っており、それらの経絡が弱ると外邪が身体の中に入ってくるものと考えます。
以上のようにどの経絡が弱り、どのような外邪が身体に侵入しているかを、舌診・脈診や触診で判断します。それによって「証」(西洋医学でいうところの診断名)をたて、施術を行っていきます。
五十肩の症例はこちらです。
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