今回は鍼灸院に来院する動機で多く見られる「腰痛」について書いていきます。
少しデータは古いのですが、2002年の鍼灸院を対象にしたアンケートでの症状ランキングでは、1位「腰痛」、2位「肩こり」、3位「膝痛」・・・10位「頭痛」となっています。
以上のように「腰痛」は、鍼灸院では日常的に診られている疾患となります。
腰の構造
腰の骨は腰椎といい、椎骨という小さな骨が5つ積み重なって構成されています。この5つの骨は直線的に並んでいるのではなく、お腹に向かってややカーブ(生理的弯曲)を描いています。椎骨と椎骨の間には聞き馴染みがあるかと思いますが、椎間板と呼ばれる軟らかな組織があり、身体を動かした時に椎骨どうしがぶつかるのを防ぐクッションの役割をします。腰椎の周りには筋肉がついていて、腰椎がぐらつかないように上半身の動きを安定させたり、重みを支えたりしています。
なぜ痛む?
日常生活で無理な姿勢をしていたり、加齢によって骨の老化が進むと、椎骨や椎間板が傷んでしまいます。それをかばうために、椎骨周囲の筋肉に過度の負担がかかり痛みが生じてしまいます。
しかし腰痛は、痛みが特定できるタイプと特定しにくいタイプに分けられます。原因が特定できないタイプの腰痛は全体の約85%を占めています。このタイプの腰痛は椎骨と椎骨の連結部である椎間関節や筋肉が関係していると言われています。原因を特定しようとすれば麻酔をかけるなど大がかりな検査が必要になるので、痛みをとることが優先されます。原因が特定されるものには、椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、がんの骨転移、尿路結石などがあります。
鍼灸ではどのようにする?
鍼灸では痛みを取ることがメインとなります。ではどのようにしていくのか?
当院では患者さんがどの姿勢の時に痛むのか、痛みはどんな感じなのか(ズキズキ、重い痛い等)、温めたり・冷やしたりすると楽になるか等を尋ねます。その上で痛みの性質(東洋医学的な見方)、また脈や舌などから体質を考えます。
タイプ別
当院でよく使うタイプ別です。臨床でよく参考にする針灸臨床辨証論治(人民衛生出版社)が元になっています。
◆寒湿腰痛
冷えると腰部に痛みがあり、安静にしていても痛む。雨の日や寒さを感じると痛みが増す。
◆湿熱腰痛
腰部が重く熱い感じがし、長く坐っている、雨の日や熱さを感じると痛みが増す。
◆瘀血腰痛
腰痛は刺された様な痛み、痛む箇所は移動せず、押さえると痛む。痛みが軽いと仰向けが不便、痛みがきついと身体の向きを変えるのが困難。
◆気滞腰痛
腰痛は時に軽く、時にひどい。酷いと仰向けや歩くことが困難。咳やクシャミをすると痛みが響く。
◆気滞血瘀腰痛
腰部の疼痛は固定しており、時に脹れた様な痛みや刺された様な痛みがある。酷いと咳、クシャミで痛む。腰をねじったり、前かがみになると痛みが増す。
◆腎虚腰痛
腰痛が長く続き、押さえたり揉んだりすると気持ちがいい。腰や膝に力が入りづらく、疲れると痛みが増し、休むと楽になる。
以上の様なタイプ別に分けて施術を行っていきます。しっかりとタイプ別に分けた方が痛みが早く軽減することを多く経験しております。
症例はこちら。
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一人一人の症状にあわせた施術を行い、少ない施術回数で症状の改善を図っております。過去の臨床経験から内科・整形外科・婦人科・心療内科疾患などの疾患に対応します。
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