生理痛

当院では不妊症で来院される方が徐々に増えてきています。そこで今回は、婦人科疾患の中でも特に鍼灸が適応する「生理痛」について書いていきます。意外と生理痛に鍼灸が適応すると思っていない人が多いのが現状です。個人的には婦人科疾患と鍼灸の施術は相性が良いように感じています。

生理痛(月経困難症)とは

今治 生理痛 玄鍼灸院

80%以上の女性が月経時に下腹部や腰痛など何らかの不快感を経験していると言われています。疼痛は60~80%の頻度でみられ、就労が困難な方は30%程度とされています。
その痛みが、時に耐えがたいほどだったり、悪心・嘔吐・下痢・頭痛などのために日常生活に支障をきたし、何らかの治療を必要とすることもあり、これを生理痛(月経困難症)といいます。

原因

生理痛は機能性と器質性に大別されます。
機能性とは、骨盤内に器質的な原因がないのに月経困難症をきたすものです。
器質性とは、骨盤内に器質的な原因(子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫・骨盤内の炎症や癒着など)があり、これにより月経困難をきたすものです。
月経困難症の原因をきちんと把握するためにも、血液検査や腹腔鏡、超音波検査、CT、MRIなどの画像診断を受けることをお勧めします。

機能性月経困難症の原因には、様々な説がありますが、なかでも注目されているのはプロスタグランジン説です。
月経時の疼痛は、子宮を構成する筋肉組織即ち子宮筋の収縮によるものと考えられています。この収縮に関与しているのがプロスタグランジンで、本来は出産の時に陣痛を起こす物質です。
月経血中のプロスタグランジンの放出は月経開始から48時間の間に起こると言われており、月経困難症の症状が一番強い時期に合致します。頭痛・発熱・のぼせ・めまい・下痢などの全身症状が起こるのは、この物質とその代謝物質が、全身の血管に流れ込むことで胃腸や血管の収縮が起きることにより、その結果として自律神経系のバランスも崩してしまうと考えられています。

鍼灸治療

鍼灸治療の適応になるのは、機能性月経困難症です。
東洋医学では生理痛のことを「痛経」と言います。現代医学とは異なる独自の視点で捉えています。

今治 生理痛 玄鍼灸院

東洋医学には「通ぜざればすなわち痛む」と言う考え方があるのですが、これは気血の循行障害が痛みを引き起こすと言う考えです。生理痛を起こす気血の主な原因として以下の4つがあります。

1,気滞血瘀

月経前あるいは月経期に下腹部に脹痛(ちょうつう、張った痛み)があります。血塊が下りれば痛みが軽減することが多いです。

2,寒湿凝滞

月経前あるいは月経期に下腹部に冷痛があります。温めると痛みが軽減することが多いです。

3,気血両虚

月経期あるいは月経後に下腹部に連綿とした痛みがあります。経血は淡く希薄のことが多いです。

4,肝腎陰虚

月経後に下腹部が痛みます。腰のだるさや足の脱力感、頭がボーッとする、耳鳴りなどの症状をともなうことが多いです。

上記のようなタイプ別によって治療方針が違ってきます。当院では不妊症でも行っている周期療法を取り入れて「生理痛」の施術を行っています。生理痛が月経の前後によく現れることに注目して月経の5~10日前および月経終了後の3~5日 後に施術をすることによって痛みを緩和していきます。 通常痛みが強く慢性的な場合には、最低3~4月経周期を治療すると「生理痛」が緩和していきます。

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