10月に入り、朝晩の寒暖差で体調を崩している患者さんを多くみるようになってきました。今回は「メンテナンスとしての鍼灸」について紹介します。
鍼灸施術というと、肩こりや腰痛など、身体につらい症状が現れたときに受けるものというイメージがあるかもしれません。しかし、鍼灸は症状があるときだけでなく、日々の健康管理の一環として活用することもできます。
不調が落ち着いたあとも、身体の状態に目を向ける

つらい症状が軽減したり無くなると、ひとまず安心される方も多いと思います。
一方で、日常生活では、仕事や家事による疲労、睡眠不足、生活リズムの乱れ、季節の変化など、身体にさまざまな負担がかかっています。こうした負担の感じ方や身体の状態は、人によって異なります。
そのため、症状が落ち着いたあとも、しっかりと自分の身体の状態に目を向け、疲労や不調を感じたときには適切に対処することが大切となります。
東洋医学では身体全体の状態を考える
東洋医学では、肩や腰などの特定の部位だけでなく、身体全体の状態を捉えることを重視します。
当院では、望診・聞診・問診・切診という四診を基本に、顔色や舌の状態、声や呼吸、症状、生活習慣、脈などを確認し、その方の体質や来院時の身体の状態を総合的に考えます。
しかし、施術者が把握している情報をすべて説明することが、患者さんの安心や理解につながるとは限りません。大切なのは、専門的な知識を一方的に伝えることではなく、患者さんがご自身の身体の状態や施術の目的を理解できるよう、必要な情報をわかりやすく伝えることです。

東洋医学では、独自の理論に基づいて身体の状態を捉え、体質や病態を総合的に判断します。しかし、東洋医学で用いる「気血」や「陰陽」、「虚実」などの概念は、西洋医学における解剖学的な構造や検査で確認される異常と、そのまま対応するものではありません。
例えば、東洋医学的に特定の臓腑の働きが弱いと判断したとしても、それが西洋医学的な臓器の機能低下や病気を意味するわけではありません。東洋医学的な判断は、あくまでも東洋医学の理論に基づいて身体の状態を捉えたものです。
こうした違いを十分に説明できない場合、かえって誤解を招く可能性があります。そのため、施術に必要な場合を除き、東洋医学的な専門用語や状態の説明をあえて省くこともあります。
メンテナンスとして鍼灸施術を考えるタイミング
鍼灸を受けるタイミングに、決まりはありません。例えば、次のような場合には、身体の状態を見直すきっかけになります。
・ 疲労を感じ、休んでもすっきりしない
・ 睡眠や生活リズムの乱れが気になる
・ 季節の変化に伴い、身体の調子がよくない
・ 以前に鍼灸施術を受けており、現在の身体の状態を相談したい
ただし、こうした状態があるからといって、必ず鍼灸を受けなければならないわけではありません。休養や睡眠、適度な運動、生活習慣の見直しも、健康管理において大切です。
また、症状が長引く場合や、急な悪化、普段とは異なる症状がある場合には、医療機関への相談も必要となります。
鍼灸は必ず定期的に受ける必要があるのか
メンテナンスとして鍼灸を考えると、「どのくらいの間隔で通えばよいのか?」と疑問に思われるかもしれません。しかし、すべての方に共通する通院間隔はありません。
現在の気になる症状や身体の状態、生活環境などによって、必要なケアは異なります。症状が落ち着き、日常生活に支障がなく、特に気になることもなければ、無理に施術を続ける必要はありません。一方で、以前の不調が再び現れたり、身体の変化が気になったりしたときには、鍼灸施術を選択肢の一つとして考えることができます。
大切なのは決められた間隔で通い続けることではなく、自分の身体の状態に応じて必要なケアを選ぶことです。
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