生理不順

不妊鍼灸で来院される患者さんのなかで、よく見られるものに「生理不順」があります。また不妊鍼灸で来院する患者さん以外にも、問診の中で「生理不順」を訴える女性は多く見受けられます。そこで今回は「生理不順」について書いていきます。

生理不順とは？

生理不順は月経の悩みの中で一番多いとされ、月経周期日数が25～38日周期であれば正常とされており、これに当てはまらないものが月経不順とされます。また一週間ほどのズレがあってもほとんどの場合には問題となることはありません。
月経周期が２４日以内のものを頻発月経、逆に３９日以上のものを稀発月経、３ヶ月以上こないものを無月経と言います。また生理期間が１〜２日で終わるものを過少月経、１週間以上続くものを過多月経があります。

生理は女性ホルモンによってコントロールされ、それに関わる下垂体、視床下部、卵巣などに異常があるとホルモンバランスが崩れてしまい生理不順となります。
生理不順が続く、生理が来なくなった場合には婦人科の受診が必要ですので、受診をおすすめします。

東洋医学からみた生理不順

東洋医学では古くから生理不順に関する文献が多くあり、月経周期が早いものを「月経先期」、遅いものを「月経後期」、早くなったり遅くなったり不安定なものを「月経前後不定期」と言います。
また生理不順では周期の異常ばかりでなく、経血量、経血の色、経血の質にも変化が見られるので、総合的に分析して証（東洋医学の診断）を立てて行きます。

東洋医学における生理不順の主なタイプ

・月経先期

気虚
気の不足により、経血を体内に留めておく力が不足している状態にある。考えすぎる、疲労や生活の不摂生が原因でよく見られる。
血熱
体内に余分な熱がこもり、血の流れが速くなっている状態。辛い物を食べ過ぎる、ストレスが原因となる。

・月経後期

血虚
血が不足している状態で、慢性的な疲労や生活の不摂生、胃腸の働きが低下したことにより食べ物を消化吸収する力が悪くなったことによるもの。
血寒
身体が冷えてしまい、それが血にまで及んでしまった状態。冷たいものを摂りすぎる、冷房や寒い季節の冷えが原因となる。
痰湿
偏食や不摂生により胃腸の働きが悪くなり、余分な水分が体内に溜まり、それが気血の巡りを障害してしまっている状態。
気滞
ストレスなどが原因で肝の働きが悪くなり、気の巡りが悪くなっている状態。

・月経前後不定期

肝気鬱滞
ストレスや感情の高ぶりが溜まり、気血の巡りが悪くなった状態。
腎虚
慢性疲労や虚弱体質などにより、生命のエネルギー源である腎精が不足している状態。

生理不順のタイプは単独で原因となる場合もありますが、多くは複数のタイプが絡み合っていることが多くあります。

生理不順に対する鍼灸施術

当院では東洋医学からみた「生理不順」の原因を特定し、身体のバランスを整えることで改善を目指しております。特に鍼や灸を用いてツボを刺激することで、血行を促進し、また自律神経やホルモンのバランスも整えることができます。WHO（世界保健機関）においても「生理不順」に対する鍼灸治療の有効性が認められています。

＜生理不順でよく使用するツボ＞
関元（かんげん）
おヘソから下に向かい指4本分。気や血の出入の要所で、冷えや女性特有の症状に効果的です。
三陰交（さんいんこう）
足の内くるぶしから上に向かい指4本分。冷え、婦人科系の不調全般に効果的です。
血海（けっかい）
膝のお皿の内側から指3本分上にある。血の流れを整え、経血量を調整する効果が期待できます。
合谷（ごうこく）
手の甲にあり、親指と人差し指の付け根の間。万能のツボと言われ、ストレス緩和にも役立ちます。

鍼灸施術を受けた患者さんからは、「生理周期が安定してきた」「生理前の症状が気にならなくなった」などの声をいただいております。