東洋医学では、どのように不妊を捉えているのか?古医書をもとに述べていきたいと思います。
先ずは「傅青主女科」、この書物は1690年頃に成書し、婦科及び産後篇に分けれています。作者は傅山、明代末期・清代初期の中国人です。
身瘦不孕
婦人有瘦法身軀、久不孕育、一交男子、即臥病終朝。人以為氣虛之故、誰知是血虛之故乎。或謂血藏于肝、精涵于腎、交感乃泄腎之精、與血虛何與、殊不知肝氣不開、則精不能泄、腎精既泄、則肝氣亦不能舒。以腎為肝之母、母既泄精、不能分潤以養其子、則木燥乏水而火且暗動以鑠精、則腎愈虛矣。況瘦人多火而又泄其精、則水益少而火益熾、水雖制火、而腎精空乏、無力以濟、便成火在水上之卦、所以倦怠而臥也。此等之婦、偏易動火、然此火因貪欲而出於肝木之中、又是虛燥之火、絕非真火也。且不交合則已、交合又偏易走泄、此陰虛火旺、不能受孕。即偶爾受孕、必致逼乾男子之精、隨種而隨消者有之。治法必須大補腎水而平肝木、水旺則血旺、血旺則火消、便成水在火上之卦。 方用養精種玉湯。
意訳
婦人は痩せており、久しく不妊症である。性交を行うと疲労のために一日中臥せっている。人は気虚のためであるとしているが、血虚のせいであることを知らない。血は肝に蔵され、精は腎をうるおす。性交は腎の精をもらすことである。血虚であるとはどういうことか?意外にも肝気が開かないことを知らない、つまり精をもらすことができない。腎精がもれていれば、肝気はまた伸びることができない。腎は肝の母で、母が既にもれていればその子を養う事ができず、木(肝臓のこと)は乾燥して水が足りず、火が妄りに動いて精を弱めて腎がますます弱る。つまり痩せている人の多くは体内に火があり、水が少なくなると火が益々盛んとなり、水は火を制するが、腎精が足りないと助けるには無力で、倦怠感があり臥せてしまう。この様な婦人は火が動きやすく、この火は貪欲であり、肝木の中から出る。これは虚燥の火で、真火ではない。性交を行わなければ火は静まり、性交を行うと精がもれやすい。これは陰虚火旺で、妊娠することができない。治療方法は腎水を補いつつ肝木を静める。水が旺盛になると血も旺盛となり、血が旺盛であれば火は消える。薬は養精種玉湯を用いる。
解釈
肝、腎は東洋医学で言うところの臓腑です。火、水は五行(木火土金水)のことで、臓腑に当てはめると肝は火、腎は水に当てはまります。
この条文では不妊症の女性で痩せている人は体内に火(熱)がある。その火は肝から出ているもので、肝は血を蔵する所であるけれども、火が盛んに出ているので血を貯めることができない。火があれば水(腎水)で消さないといけない。火の勢いがあるので、どうしても水が少なくなってしまう。水は腎から出ているので、腎も弱まってしまう。腎は生殖機能を担っているので、妊娠することが出来なくなってしまいます。つまりこの場合の不妊は、体内にある火が原因です。治療はその火を静めないといけないことになります。
このような不妊症の人は、症状として生理が遅れがち、眩暈があり、咽が乾きやすい等の火の症状が見られることがあります。
鍼灸を行う場合は、水(腎水)が不足しているので水を補う穴、また血も不足しているので血を補う穴を取ると同時に肝臓に関連した穴に鍼をしていきます。水が足りてくると火も静まるので、火の症状も消えてきます。そうなると妊娠しやすい状態になったと判断します。
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