傅青主女科⑤

嫉妒不孕

婦人有懷抱素悪、不能生育者。人以為天心厭之也、誰知是肝気郁結乎。夫婦人之有子也、必然心脈流利而滑、脾脈舒徐而和、腎脈旺大而鼓指、始稱喜脈。未有三部脈郁而能生子者也。若三部脈郁、肝気必因之而更郁。肝気郁,則心腎之脈、必致郁之急而莫解。蓋子母相依、郁必不喜、喜必不郁也。其郁而不能成胎者、以肝木不舒、必下克脾土而致塞、則腰臍之気必不利。腰臍之気不利、必不能通任脈而達帯脈、則帯脈之気亦塞矣。帯脈之気既塞、則胞胎之門必閉、精即到門、亦不得其門而入矣。其奈之何哉。治法必解四経之郁、以開胞胎之門,則庶幾矣。方用開鬱種玉湯 。

意訳

嫉妒は妬みのこと。婦人が人に対して妬みがあり、妊娠出来ない。これは人と環境が順応出来ていない、情志変化により胸悶不舒、両脇脹痛等の症が引き起こされることを誰も知らない。婦人が妊娠すると、左手の寸脈の流れが滑らか、右手の関脈はゆったりとし、左手の尺脈は旺盛で触れると力強く指を打つ、これらは喜脈(妊娠した脈象)である。五行相生相克の関係から、もし肝気鬱結、肝木が伸びやかでないと、必ず心火と腎水の機能に影響する。肝気鬱結の人は妊娠しづらく、容易に妊娠する人は肝気鬱結の病がない。鬱にして不妊の者は、肝木が伸びやかでなく、脾土を克するので腰臍の気が不利となる。腰臍の気が不利であると、任脈が通じず帯脈がとおらないので、帯脈の気もまた塞がる。帯脈の気が塞がると、胞胎の門が閉じ、精が門に達してもその中に入ることが出来ない。治法は四経の鬱を解き、胞胎の門を開くことである。薬は開鬱種玉湯を用いる。

今治 鍼灸 不妊
和漢三才図会より抜粋

解釈

嫉妒、ここでは様々なストレスと考えます。ストレスがあると妊娠しずらく、またストレスにより胸がモヤモヤしてスッキリしない、両脇に痛みがあるなどの症状が出てきます。これらは肝気鬱結(東洋医学的な診断名)によるもので、肝気鬱結があると心や腎の機能にまで影響して、心や腎の働きが悪くなります。また腰臍の気が不利となり、任脈(身体の正中線を通る経絡)や帯脈(帯のように身体を一周している経絡)が通りにくくなります。それにより帯脈が塞がると、胞胎の門が閉じ、精(ここでは精子)が門に到着しても中に入ることが出来ないので、妊娠することができない。
臨床においては、肝気鬱結による不妊は多くみられます。具体的な症状としては、生理が遅れがちで、生理痛があり、生理前に胸が張りやすい、よくため息をつき、怒りっぽくイライラしている等です。施術は主に肝経の気の流れを良くし、あわせて心・脾・腎の経絡の鬱を解けば、任脈や帯脈の気の流れもスムーズとなり、妊娠しやすい身体となっていきます。