傅青主女科④

胸満少食不孕

婦人有素性恬淡、飲食少則平和、多則難受,或作嘔泄、胸膈脹満、久不受孕。人以為賦稟之薄也、誰知是脾胃虛寒乎。夫脾胃之虛寒、原因心腎之虚寒耳。蓋胃土非心火不能生、脾土非腎火不能化。心腎之火衰、則脾胃失生化之權、即不能消水穀以化精微矣。既不能化水穀之精微、自無津液以灌溉於胞胎之中。欲胞胎有温暖之気、以養胚胎、必不可得。縱然受胎而帶脈無力、亦必墮落。此脾胃虛寒之咎、故無玉麟之毓也。治法可不急温補其脾胃乎。然脾之母原在腎之命門、胃之母、原在心之包絡。欲温補脾胃、必須補二経之火。蓋母旺子必不弱、母熱子必不寒、此子病治母之義也。方用温土毓麟湯。

意訳

婦人の性格は内向的で寡黙、少食であれば体調が良く、多く食べすぎると体調が良くない、或いは嘔吐と下痢、胸膈がはり、久しく妊娠出来ない。これを先天不足としているが、だれも脾胃虚寒であることを知らない。脾胃虚寒の原因は、心腎の虚寒である。考えてみると胃土は心火が無いと生じることができず、脾土は腎火が無いと化すことができない。心腎の火が衰えると脾胃は生化の權を失い、つまり食物を消化して栄養物質に変化させることができない。食物を消化して栄養にすることができないと、胞胎(女性の生殖器)の中を潤す津液が無い。胞胎には温暖な気が必要で、それにより胚胎を養うので必ず必要である。もし妊娠して帯脈に力が無ければ、流産となる。これは脾胃虚寒の過ちによるもので、生殖能力が無いものである。治法は急いで脾胃を補ってはいけない。脾の母は腎の命門、胃の母は心の包絡である。脾胃を温補しようとすれば、必ずこの2つを補う必要がある。母が旺盛だと子は弱くなく、母が熱いと子は寒くない。子が病めば母を治療する道理である。薬は温土毓麟湯を用いる。

今治市 不妊 玄鍼灸院
鍼灸重宝記綱目より抜粋

解釈

性格的に大人しく、内向的な人は少食であれば体調がよく、多く食べ過ぎると体調を崩す患者さんを診ることがあります。またそのような方は手足が冷えていることが多いです。これらの症状は一見、脾胃の弱りと考えがちですが、原因は心腎にあります。東洋医学では心腎には火があると考えており、その火が脾胃を温めることによって脾胃が正常に働きます。この心腎の火が脾胃に伝わらないと脾胃の働きに異常が出てしまいます。それによって胞胎を養うべき気が伝わらないので、たとえ妊娠しても流産となってしまいます。
鍼灸を行う場合には、原文にある「子病治母」の原則に従い、まず心腎の火を補うを穴を取ります。そして脾胃の働きも弱っているので、脾胃の働きを改善する穴も選択して鍼・灸を施します。心腎の火が脾胃に伝わってくると食欲が出てきて、以前より食事量が増えたり、手足の冷えが改善してきます。そのような状態になると妊娠しやすくなります。